2009年11月21日土曜日

機密費はすべて公開すべき

 鳩山政権誕生から早や2ヶ月超、官房機密費というものが平野官房長官によって、この間に1億2千万円も支出されていたことがわかった、ということだけでも一般人のあたしにとっては驚きだけど、さらに前麻生政権の退陣が明らかになった衆院選2日後に河村武夫前官房長官が2億5000万円もの機密費を引き出していたことが明らかになって、あたしの日本の政権に対する不信のメーターの針は一気に振り切れてしまった。莫大な機密費を手にして民主党に政権を渡すわずか半月の間に日本の国益に見合うような大きなことを麻生政権はやったのか。退陣する直前に多額の官房機密費を手にして消え去るというのは、まさにあのフイリピンの故マルコス大統領がハワイに亡命する直前まで、多額の国家資産を横領したことと根は同じで、河村前官房長官の「説明する立場にない」というコメントとあわせて、税金泥棒にも匹敵する「胸くそわるい」所業に見えて仕方ない。

 マルコス大統領が去った後のマラカニアン宮殿にはマルコス大統領夫人の高級な靴がそれこそ山ほど残されていたが、平野官房長官が業務引継ぎの際、首相官邸に残されていたのはカラッポの金庫だったという。ことほどさように、麻生前政権はチリ一つ残さず、あらいざらい持ち去ったわけだ。

 河村前官房長官が2億5000万円の使途について「説明する立場にない」のであれば、現平野官房長官は「説明する立場にある」のだから疑惑のあるこの使途についてすぐさま説明すべきだろうよ。このことによって平野官房長官が今回受け取った1億2000万円の官房機密費に連動することを恐れて説明を避けているのであれば卑怯である。

 確か民主党はこのような機密費の使途については明らかにすべきで、そのための法案も検討していたのじゃなかったかね。そういう機密費自体の存在を「承知していない」と発言した平野官房長官が1週間後にはぬけぬけとその機密費の請求をすることほど国民を愚弄するものはあるまい。

 機密という名がついているからには、その目的を公にすると場合によっては国益を損なう恐れがあるということくらい素人のあたしにも分かる。毎年12億ほどの官房機密費がすべて税金であっても、それが純粋に国や国民のために使われるのであれば、その内容をあたしはあえて知りたいとは思わない。しかし信頼している人物にまとまったお金を預け、社会に役に立つことに使ってくださいと頼んだものの、己の衣服や特定の人の歓心を買うようなことに使われていたとしたら、使い道を明らかにせよと要求する気持ちになるのは当然だろうよ。

 官房機密費に限らず、外務省報償費(外交機密費)や捜査報償費の一部は不正な使われ方がされたことが今までに明らかになっている。外交機密費にいたっては毎年約50億円が計上されていて、その問題点は今までも散発的に国会で取り上げられているがなかなか抜本的な改善がなされず、これが財政逼迫した国のやることかとあきれてしまう。この外交機密費の3分の1近くが官房機密費に上納されているとの疑惑もあって、もしこれが事実なら官房長官が扱える額はもともとの機密費とあわせ年間約30億円にもなる。

 2001年に発覚した外務省機密費流用事件は首相の外遊を担当していた当時の外国訪問支援室長が9億9000万円の官房機密費を受け取り、競走馬やゴルフ会員権、高級マンション、女性への生活費に浪費していたというが、これなどは上納された外交機密費のペイバックだろう。

 こうしてみると、わが国の機密費が国家の緻密な戦略や戦術に基づいて的確に有効的に使われているとは到底思われない。機密費というたいそうな名称がついているが、単に使用目的隠しに都合のいい名をつけたとしか考えられない。あやふやなものにもいとも簡単に流用できる機密費の使途公開を、相手のあることだとか、誤解を招くとかいう理由で拒絶するが、国益のための機密費という性格はとうに失っている。いま使途を公開しても、不正に関わった者には大きな影響があろうとも、それ以外はさほどのことはあるまい。

 確かに国が政策を進める上で官房機密費などの使用目的を公開することは国益を損なう場合があるかもしれない。しかしそれは機密費が正しいことに使われており、過去においてもいささかの疑惑も持たれなかった場合に言えることで、多くの国民から疑わしい目で見られている今となっては、もはやそれは主張できまい。国益ということを隠れ蓑にして、使用目的を公開する考えはないという官房長官の発言を聞くにつけ、貴重な税金を都合のいいように流用しているのではないかということに疑念が涌き、例の裁判員ではないが、「むかつく」ようなことが「国民の生活が第一」というキャッチフレーズを掲げる民主党政権にも少なからずあるという事実に、あたしは言いようのない腹立ちを覚える。

 鳩山政権は国益と言う言葉を発する前にすべての機密費が正しいことに有意義に使われる方策を緊急に考えるべきだ。もしそれができなければこういう使途目的が不明瞭な機密費などは即刻無くすべきだ。鳩山首相は今回の件について「政権交代時にはありうるべきこと」とか悠長なことを言っているが事態はそんな生易しいことではない。日本国民の何千万分の一かに当たるあたしが今回のことで民主党政権に?という疑問符を持ち始めたのだ。同じ気持ちになる人間はひとりや二人ではあるまい。

 政権を取って野党時代には考えもしなかったいろんな権力、待遇、金力が舞い込んできた。野党のときは批判していた制度が与党になったとたん使い勝手のいいものに感じられて手放したくなくなってきた。そんなイメージを今の民主党に感じるのである。

 前麻生政権が退陣の半月前に2億5000万円もの官房機密費を国益のためにどう使ったのかをすぐさま明らかにすることは現鳩山政権の責務である。そしてさらに機密費の公開を求めていた民主党政権が直ちにすべての機密費の使用目的を公開しなければ、民主党もやはり言行不一致のハリボテ政党かと日本国民に判断されても仕方ないと思う。その先に控えるものは日本を一層泥沼に陥れそうなガタガタの自民党政権ではなく、おそらくアメリカ51番目の日本州だろう。橋下大阪府知事が唱える日本の道州制など簡単に吹っ飛んでしまう。

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