2011年3月17日木曜日

何を血迷ったことを

 セ・リーグ理事会がプロ野球セ・リーグの25日開幕決めたという。
 これには巨人・渡辺会長が25日開催を頑強に主張したと知って唖然とした。

 東日本大震災の惨状が次第に明るみになって、犠牲者が一万人以上だと報じられ未曾有の出来事に日本中の国民が言葉を失っているさ中に、娯楽スポーツのひとつでもあるプロ野球を開催するだと。何を血迷ったことを言っているのか。

 それだけではない。今この時でさえ状況は刻々とより深刻になっているかもしれない福島第一原発のことを考えれば、今は開催云々などと言っているときではないだろう。

 プロ野球労組・選手会は12球団実行委員会に対して、「セ・パとも開幕を延期して欲しい」と緊急提案していた。パ・リーグは被災した仙台を本拠地とする楽天を慮って開幕延期を決定した。
 プロ野球労組・選手会とパ・リーグはいたってまともな判断をしたのである。

 そういうプロ野球選手会に対して、渡辺会長はまるで04年の球界再編時の意趣返しのように25日開催を主張したという。それに引きずられるセ・リーグ理事会も情けない。

 東日本大地震の余震がいまだに終息せず、福島第一原発が日本国の存亡を左右するかもしれない深刻な状況の下で、なぜセ・リーグの野球が開催できるのか。「(野球の開幕が)被災者に勇気と元気を与えるというのは、思い上がりだ」という選手会の言葉は全くその通りだ。

 電気もガスもない、そして食料でさえ満足に口に出来ない数十万にもおよぶ被災者が、地元のチームでもないワンサイドリーグの試合で勇気づけられ元気になるとは到底思えない。被災者が今必要なのは、食料であり、暖かい居場所であり、行方不明者の消息なのである。

 他の多くのスポーツやイベントは中止になったり、延期になった。これがまともな判断だろう。そういう中であえてセ・リーグの野球だけを予定通り開幕させるという意図がわからぬ。開幕の収入を被災地に回すというのも何かとって付けた理由のような気がする。それよりセ・リーグ理事会のお偉さん方の潤沢なポケットマネーを募金されたらどうか。

 国家存亡の瀬戸際にも等しいこの時が野球を観戦するのにふさわしい状況ではない、ということが渡辺会長をはじめとしたセ・リーグ理事会の面々にわからぬはずはなかろう。

 プロ野球の開幕は、今起きている惨事の終息にメドがついた、という時を待っても少しも遅くない。

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