2019年6月30日日曜日

「大阪城のエレベータ―設置はミス」と安倍首相

 G20大阪サミットが29日、閉幕した。

 議長役を務めた安倍晋三首相は総括で「力強いメッセージを出せた」と宣言したが、「そうかな?」と頭を傾げたくなる。

 なぜなら
 本来G20サミットはG7サミットの後に開かれるのが通例なのだが、今回は順序が
逆転した。

 なぜG7よりも先にG20サミットが開かれたのか?

 それは7月末の参院選を前に、G20サミットの議長国として何らかの成果を上げて目立ちたい安倍首相の裏心があったからである。

 今回、大阪宣言には「保護主義と闘う」との文言が盛り込めなかった。それどころか
安倍首相がこの件に対して真剣に取り組んだかというとそれはあやしい。

 さらにロシアのプーチン大統領との会談において、安倍首相が北方領土返還について話し合ったという形跡も見られなかった。

 政府は外交の難しさをたとえて「相手のある事だから」とよく言うが、この世の中すべてが「相手のある事」だらけである。

 安倍首相の人格に疑問を抱かせた次の例がある。

 それは、安倍首相は今回のG20大阪サミットの夕食会あいさつで、大阪城復元について触れたとき「大きなミスをしてエレベーターを設置した」と言った。

 安倍首相は、体が不自由な人のために大阪城にエレベーターを設置したことを「ミス」と言い、しかもそのことでG20に出席した各国首脳の笑いを誘おうとしたのである。

 この安倍首相の発言に対して会場は大きな笑い声が起きるでもなく、各国の首脳はあいまいな微笑を浮かべただけだったという。

 安倍首相のこの「エレベーター設置はミス」だとの発言に、バリアフリー社会に逆行するとして障害者のあいだから反発の声があがったのは当然であろう。

 一方、このことは些細な事だという反対の声もある。

 しかしこれら反対意見を持つ人たちの多くは、大阪城の最上階の天守まで自分の足で上がって行くことが出来る健常者である。

 エレベータでしか天守の最上階まで行くことができない障害者の事を思い至ることが出来ない国の最高権力者とは一体何だろう。

 場末の飲み屋で一介のサラリーマンが大阪城の復元について偉そうに話をしているのとわけが違うのだ。

 国の最高権力者の人格はいつの場合でもすべての国民の模範となるものでなければならない、とは高望みだろうか。

2019年6月21日金曜日

安倍晋三首相以外なら誰でもいい

 今からちょうど8年前の6月2日に、衆院で当時の菅内閣に対する不信任決議案が提出されたが、民主党や国民新党などの反数で否決された。

 その時は3月に起きた東日本大震災により政界はゴタゴタしていた。

 当時は民主党政権下で、震災直後の菅首相の行動が不適切であることも手伝って、菅内閣に対する不信任決議案に民主党の鳩山前首相(当時)までもが賛成していた。

 しかし直前になって鳩山元首相は不信任案に反対した。

 当時のブログに私は、「一連の国会のゴタゴタはちょうど園児の寸劇を見ているようで、日本の政治というのはいまだ未成熟だとあらためて思い知った」と書いている。

 歴史は繰り返す。

 今、国会では野党が麻生財務相に対して、衆院では不信任決議案を、そして参院には問責決議案をそれぞれ提出した。

 さらに野党は内閣不信任案や安倍首相の問責決議案の提出を検討しているという。

 私は8年前の国会のゴタゴタを園児の寸劇にたとえたが、今の国会に対してその考えは変わらない。

 今の衆院の議席数は自民党によって多数を占められ、そのために独裁的な国会運営がなされていることに危惧を抱く。

 安倍首相はさる19日の党首討論で衆院解散は頭の隅にも無いと言った。頭の片隅には無いが中心にはあるかもしれない。

 野党が内閣不信任案や安倍首相の問責決議案を提出したならばどうなるかわからない。


(お断り:以下の文章は6月19日に他のブログサイトに投稿したもので、再掲です)

 19日の党首討論を視聴した。

 安倍首相と各野党党首が真剣白刃で戦い合うのかと思っていたら、見事その期待は裏切られた。

 せっかく金融庁の「老後2000万円問題」どころか「3000万円問題」という政府を追及する好材料が転がり込んできたのに、安倍政権に対する野党党首の切り込みは観ていて歯がゆいものだった。

 党首討論で「逆切れ解散」という憶測もあったが、そんな気配も無く、午後4時前党首討論は平穏無事(?)に終わったのである。

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 おそらく各野党党首の頭には、怖い衆院解散という文字がちらちらしていたのだろうか、結局党首討論はおざなりの追及に終わったようにみえたのである。 

 野党はなぜ、身を挺してもっと鋭い追及ができないのか。


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 今のように内憂外患のややこしい問題を抱えているときの政治は避けたい、というご都合主義が見え見えである。

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 7月の参院選あるいは衆参ダブル選で、自民党や公明党の与党に鉄槌を加えることが出来たならば、安倍首相といえど総理や総裁の座に安穏としてはいられないだろう。



(写真はいずれも2019年6月19日党首討論 衆院TVインターネット中継より)

 あるメディアの世論調査では、安倍首相を支持する理由として「ほかに適当な者がいない」という理由が多かった。

 こんな消極的な理由で、内外の問題が山積して一向に解決の兆しが見えない安倍政権にこの日本を任せてよいものだろうか。

 今のところ参院選単独かダブル選になるのかわからないが、7月の選挙の結果で自民党が大幅に議席を減らせば安倍首相は今のままでは済まないだろう。

 極端に言えば、真実を国民に正しく伝えることが出来る政権であるならば、たとえそれがどのような政党であろうと厭わない気持ちになってくる。

 今は「安倍晋三以外ならば誰でも」という心境である。