2010年6月19日土曜日

消費税増税なら官房機密費を無くせ

 昨日(18日)夜、日本テレビ系列で放映されたバラエティー番組には興味を持った。太田某と田中某が出演するものだが、あたしが一番気になる官房機密費を取り上げていたのが興味を持った理由だ。

 この番組は、暇な政治家や有名人をスタジオに呼んで、彼らの言葉を借りて、胴元の爺様の意向に沿うような、世論操作まがいの情報を流しているようなバラエティー番組だ。だからあたしはふだんは見ない。昨日のそれはどういうわけか、自民党政権が大変お世話になった官房機密費にヤリじゃなかったメスを入れていた。どんな裏があって方針を変えたのかわからぬが、番組自身はまあ面白いと思ったね。メスは皮膚を傷つけるくらいのものであったが・・・。

 時の政権に都合の悪い情報が流れるのを封じるために、マスコミや政治評論家たちに流れていった官房機密費はあたしたちの税金であって、政治家たちのポケットマネーじゃないのは明らかなのに、今までよくも使ってくれたなーと思う。自民党元幹事長が政権交代間際に数億の官房機密費を引き出したり、官房機密費の公開に積極的だった民主党平野前官房長官が、政権側につくや否や、その公開に消極的になるほど使い勝手のいいものほど、税金の浪費以外の何ものでもないだろう。

 官房機密費の使途を明らかにすることは、国家の機軸を脅かすような情報の収集に支障をきたすとかなんとか、偉そうなことを言っていた時の政権が、何てことはないマスコミや政治評論家の口封じのためにお手当てを与えていたのだ。こんなことは何十年も前から言われていたことだ。なのにマスコミはほとんど取り上げないし、政治評論家にいたってはその口から官房機密費という言葉が発せられたことをあたしは今まで知らない。そういう中にあったからこそ昨日のテレビの内容は目を引いたのだ。ただこの官房機密費というテーマでスタジオに出席を呼びかけた政治評論家の多くが主席を辞退したというから、ますますこの官房機密費の性格は面妖である。

 官房機密費のバラ撒きをやっていた自民党を民主党はひどく非難していたが、政権が転がり込んできたその民主党も、官房機密費の全面的な使途公開に及び腰なのはなぜだ。10年先や20年先に公開するという案を民主党政権は考えているらしいが、冗談じゃない。今の官房機密費が日本という国を守るために必要な質の高い情報収集に使われているとは到底考えられない。

 使途がものすごくグレーな官房機密費を温存し、民間と比べてベラボーに高い公務員の給与の削減には手をつけず、民主党は野党時代に財源は一般会計と特別会計の区分を無くせば20兆円位は生み出せると豪語したのにその特別会計にも手を付けず、どういう意図があるのか、いきなり国民に消費税増税をほのめかす菅政権をあたしは信用できない。これは他のブログでも書いた。

 菅政権が、この政権交代を明治維新にも匹敵する国民のための政変だと思うならば、消費税増税論議の前に、事業仕分けの対象にでもなれば真っ先に削られるような官房機密費をまず無くせよ、と言いたい。それが先進国でも最悪の財政に陥っている日本国の政権が、歳出削減に本気で取り組んでいるという姿勢を国内外に示すことになるのだ。

 官房機密費がなくても、日本の政治は大きくは変わりはしない。もし日本という国の根幹にかかわるようなことに使われていたら、小額であったとしても官房機密費をマスコミや政治評論家を懐柔するために使うという発想は生まれなかったはずだ。

 たかが年間十数億円の官房機密費を削減してどうなる、という反論に対してあたしは言いたい。たかが十数億円の削減ができない政権が、何兆円もの消費税に口を出す権限はない。 

2010年6月5日土曜日

鳩山首相はやっぱり宇宙人だった?

 急転直下、鳩山首相と小沢幹事長の辞任が決まって、日本人が大好きな短期内閣がまた誕生した。少し付き合ってみたが、魅力が無いし、優柔不断だし、決断を先送りにするし、ナイショで他の人と勝手に約束するし、大風呂敷は広げるしで鳩山首相に愛想が尽きた、というあたしの反応は正しい、と思う(?)。でも、小沢幹事長を道連れにするなんて、他の誰もができなかったことをするくらいなら、その蛮勇をもっと早く発揮してくれたらなあ、と思わないでもない。

 小沢幹事長らと会見した後で鳩山首相が立てた親指を、マスコミは想像たくましく色々と報道していたが、首相の辞任を予想したマスコミはどこにも無かった。ましてや小沢幹事長共々辞任することも。まあ最近のマスコミの洞察力はそんなもんだ。

 あたしはこの5月19日に口蹄疫蔓延の問題をこのブログに書いて以来、鳩山政権のことを書くのを止めていた。それは鳩山首相とその周辺におかしな空気を感じたからだ。その間、マスコミの記事やブログは日米共同声明や、そのことによって社民党が政権離脱をしたことを受けて、これからどうなる、どうするなどとさかんに書いていたが、鳩山首相が辞任するとか、小沢幹事長も同じ運命だ、と予想したものは皆無だった。あたしがこっけいに思うのは、鳩山首相が親指を立てたことを、首相続投の意思だと胸を張って書いたであろう記事を見たときだ。

 内閣支持率が20%を割れば、その政権は即座に終わる。これは過去の例からも確かなことだ。参院選を目前に控えて、ころころと総理を変えていては自民党と同じだと言ってみても、それが政権を存続させることになんら役立たないことは明らかなのに、一部のマスコミは鳩山首相の続投だと報じてしまっている。

 こんな間違った見通しの中で、鳩山首相が6月2日の民主党両院議員総会で辞意を表明したことは、国民とマスコミに大きなインパクトを与えた。辞任を悟られないよう親指を立てた鳩山首相に対して、なかなかの役者じゃないか、とあたしは思ったものだ。こういう発想をオバマ大統領に対しても行なってくれたら良かった。

 サプライズな辞意表明のお陰で、直後のマスコミの緊急世論調査で民主党の支持率は前回より10ポイント近く回復した。こういうどんでん返しがやれるのであれば、その能力をなぜ政権運営に役立てないのかと不思議に思ったが、ケガの功名だったのかもしれない。小沢幹事長を道連れにするということを総会の席上で言ったことも、小沢幹事長が翻意するのを防止するため、意識して発言したのであろうか。こんな細かな芸当ができるのに、いざ政権運営となると目を覆いたくなる鳩山首相とは一体何だったのだろう。やっぱり宇宙人だったか。