2019年7月23日火曜日

吉本興行 岡本社長の謝罪会見は演技!?


2019年7月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より

 反社会勢力の会合との関りで吉本興業から契約解除されたお笑いコンビ「雨上がり決死隊」の宮迫博之氏と、「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮氏のふたりが20日の謝罪会見で、真実を話したいと先月岡本昭彦社長に伝えたが、岡本社長からは「会見をしたら全員クビ」だと言われたということを明らかにした件について、岡本社長が22日に謝罪(?)会見をした。

 5時間超にも及んだこの会見で得たことはただ一つ、この会見は「謝罪」でも何でもない、言い訳に終始したというべきだろう。

2019年7月23日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より

 その中で岡本社長は、脅しは冗談だったとか、発言は家族間のフランクな言葉使いの一端が出たというようなことを言っていたが、その場の空気が
冗談を言ったり、家族間の雰囲気であるはずがない。

 岡本社長の発言は、聞いていてあきれるばかりである。

 もし、コンプライアンスを忠実に守っている組織のトップならばこういう言い訳はしないだろう。

20日に行われた宮迫氏と田村氏の謝罪会見
(2019年7月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 この日の岡本社長の発言について、他の芸能人からも相次いで批判が出ているが当然だろう。

 一度はウソをついて、急場を切り抜けようとした宮迫氏らにもそれなりの責任はあるが、その責任の重大さを感じて真実を公表しようとした宮迫氏らの行動を岡本社長は脅しをかけて阻止しようとしたのである。

 それにもまして驚くのは、ひょっとすると吉本興業が反社会勢力とつながっていたのではないかとの記者の指摘があったことである。

吉本興行は反社会勢力とつながっていたのではないかという記者の指摘に答える会社側弁護士
(2019年7月23日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 もしこれが事実だとすると、宮迫氏らの早期の謝罪会見を岡本社長が阻止した理由がわかる。自分に降りかかってくる問題だからである。


 吉本興業と言えば私はあの場面を思い出す。

 それは今年の4月、大阪市にある吉本のお笑い劇場「なんばグランド花月」の舞台に安倍首相が現役首相として初めて登場し、その模様はテレビでも放映されたことである。

2019年4月22日 MBSテレビ「吉本新喜劇}より

 また6月の初めには吉本興業の芸人が官邸で安倍首相と面会をしている。

 このように吉本興業と安倍首相が深い関係にあることは第二次安倍政権が発足後、政府が約600億円を出資した官民ファンド「クールジャパン機構」(東京)に対して吉本興業が計22億円を出資していることからでも明らかである。


 先日、あのSMAPが所属していたジャニーズ事務所を公正取引委員会が注意をした。

 SMAPの元メンバーである稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんについて、ジャニーズ事務所がテレビ出演させないよう各テレビ局に圧力をかけていた。

 この行為が独立禁止法違反につながるおそれがあるとして、公正取引委員会が注意をしたのである。

 このことに対しジャニーズ事務所は「弊社がテレビ局に圧力などをかけた事実はなく、(途中略)今後は誤解を受けないように留意したいと思います」と圧力を否定した。

 あのスマップ解散騒動が起きた直後から、テレビでは元メンバーのレギュラー番組が相次いで終了し、元メンバーの姿をテレビ画面で見かけることが極端に少なくなったと感じていたのは私ばかりではないからである。

 ファンの間では、ジャニーズ事務所から何らかの圧力が各テレビ局にあったのだろう、というのが大方の見方である。

 このジャニーズ事務所と吉本興業のテレビ業界に対する動き、何となく似ていないか。


 芸能界など、どこもこんなもんだよ、と言われればそうかもしれない。


 しかし、政界においても同じような現象が見られるのはどういうことか。

 都合の悪い情報や反政府的な意見を流すテレビ局に対して、放送法を弄って脅しをかけようとする政府の行為がしばしば見られる。

 去る3月5日に閣議決定された、NHKによる放送コンテンツのネット同時配信(サイマル配信)はその典型的なものである。

 もしこれが本格的に運用されれば、民放は太刀打ちできない。

 政府はこの「サイマルネット配信」の手綱を強く引いたり、緩めたりして各テレビ局の放送内容を意のままにコントロールしようとしているのである。


 今回の吉本興業のお笑いタレンの闇営業に端を発した騒動は、地位を利用して下の者に脅しをかけ、都合の悪いことを封じる今の風潮が笑いの世界まで蔓延したことを反映したものであろう。

 もし吉本興業の経営陣がこの問題をこのまま放置して、ほとぼりの冷めるまで待つという姿勢をとるならば、キャラが大事なお笑いの世界、以前と同じ感覚で吉本興業の催事が今までと同じように大衆に受け入れられるかどうかははなはだ疑問である。

 そういうことを考えれば、この際吉本興業の岡本社長らが潔く退くことが最善の策だと思われる。

2019年7月8日月曜日

日本政府の対韓輸出規制は、参院選において不都合なことから国民の目をそらして支持率を固めるため

 古(いにしえ)の時代から、為政者は自分の国に都合の悪いことが起きると、国民の目をそれからそらすために国の外に敵を作り、己への支持を固める政治手法を使ってきた。

 今回、唐突に韓国に対する輸出規制を日本政府が行ったのもそのひとつであろう。
  
 7月4日、日本は韓国に対して半導体材料など3品目で契約ごとに輸出を審査・許可する方式に切り替えた。

 これまでのいきさつから当然、韓国が反発するのは予想されることである。

 今回の輸出規制にあたり、政府と安倍首相は次のように考えたのであろう。

 ①このことで韓国が反発すればするほど、日本国内の結束は高まって安倍政権の支持は固いものとなる。

 ②それは自民党にとって参院選で好ましい結果をもたらすものとなる


 現に、JNNがこの6,7日に実施した世論調査では次のような結果が出ている。 

 韓国に対する輸出規制についてどう思うかの問いに
          妥当だと思う     58%
          妥当と思わない    24%
          答えない、わからない 18%
 なんと6割の人が妥当だとているのである。

 唐突に出てきた韓国に対する輸出規制は、21日の参院選投開票を前に安倍政権にとって不都合な事柄(年金問題や10月の消費税増税など)を国民の目からそらすためと、外に敵を作ることによって国内の支持を固めることを狙ったものであろう。

 なぜなら、どうしてこの時期に?、と思うからである。

 今回の輸出規制について韓国の一部のメディアは「21日に実施される参院選を意識して(日本政府や安倍首相が)幼稚な手法を使ったとの指摘もある」と、まさに的を得た報告をしている。

 徴用工問題や慰安婦問題、レーダー照射問題などでぎくしゃくしている日韓外交であるが、これらの問題はずっと前から起きていたことであり、この時期になって突然に対韓国の輸出規制が出てくるのは不自然である。

 日本政府は「(徴用工問題などの対する)報復措置ではない」というが、安倍首相は7日のテレビで、対韓国の半導体材料の輸出規制について「(韓国側に)不適切な事案があった」と述べたが、その具体的な理由は明らかにしていない。

 不適切な事案が何であったのか、具体的な理由を明らかにしない以上、この輸出規制は韓国のメディが報じるように「21日の参院選に対する幼稚な手法」と思わざるを得ない。

 また、この輸出規制において日本政府は韓国に対して逃げ道を用意している気配がない。つまり、日韓がともに納得できるような落ちどころを検討していた形跡が無い事である。

 言い換えれば、厳しい輸出規制をしたものの、その出口を日本政府は検討していないということである。

 これでは今後の日韓関係は泥沼化してしまうだろう。

 それを喜ぶのは中国であり、ロシアであり、北朝鮮であるかもしれない。

 韓国は今回の輸出規制に対して、半導体材料の輸入先を日本から中国などの他の国に変える方針だという。

 もちろん品質などの点ですぐに実現することは難しいだろうが、中国などの他国に日本の技術者が引き抜かれるのは時間の問題であろう。

 なぜなら、日本における半導体材料の技術者は韓国への輸出が滞って会社の業績が下がり、技術者は失業の憂き目に遭うかもしれない状況に置かれるからだ。

 そして驚くことは、国内の関連会社がこのような事態に陥るだろうことに対して、事前にその対策を政府が講じているかどうかわからないことだ。

 同じようなパターンは過去に何度も見られたことだ。

 今回の件は、政府から事前に日本の関連会社に知らされなかったという。
 それだけに関連会社にとってこの輸出規制は青天の霹靂だったというのもうなづける。

 参院選で不都合なことから国民の目をそらし、己の支持率を高めるためだけに利用するという安倍政権の今回の政治手法は決して賛同できるものではない。

2019年7月1日月曜日

電撃的な米朝3度目の会談、これでG20大阪サミットのニュースは吹き飛んだ


 トランプ大統領は30日午後3時45分ごろ、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線上の板門店を訪れ、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と握手をした。

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南北軍事境界線を現職の米大統領として初めて越えたトランプ大統領と金委員長
(2019年6月30日 ABCテレビ「サンステ」より()

 軍事境界線を越えたのは米国の現職大統領としては初めてで、トランプ大統領は金委員長と握手をしながらおよそ1分間、北朝鮮側に足を踏み入れた。

 このトランプ大統領と金委員長の電撃的会談は、つい先日まで日本で開催されたG20大阪サミットのニュースを一瞬にして吹き飛ばした。

 G20サミットの最終日、形式的で一向に目映えのしない中身の薄い大阪宣言を得意げに発表する安倍首相は、非武装地帯でトランプ大統領と金委員長が握手を交わしながら南北境界線をまたいでいく映像に完全に打ち負かされた感がある。

 7月1日のニュースは、板門店でトランプ大統領、文在寅大統領、金正恩委員長の三人が並んだ映像は流れても、日本が議長国を務めたG20大阪サミットのニュースはほとんど流れなかった。

 もっと意地悪い見方をすれば、G20大阪サミットで安倍首相から冷たいあしらいを受けた韓国の文在寅大統領がトランプ大統領の突然の発案(休戦ライン訪問)に乗じて、安倍首相に一泡吹かせたともいえよう。

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板門店で握手するトランプ大統領と金委員長
(2019年6月30日 ABCテレビ「サンステ」より)

 この電撃的な板門店の米朝会談実現で、G20サミットが日本で開催されたことなど、はるか彼方に吹き飛んでしまったようである。