2009年10月3日土曜日

2016年夏季五輪開催に東京が落選

 2016年夏季五輪の開催地はリオデジャネイロに決定した。前評判どおりで驚くに値しないけど、シカゴが1回目の投票で落選したのにはびっくり。あたしはシカゴとリオデジャネイロの決戦投票だと思っていたからね。

 その理由として、2012年に夏季五輪がロンドンで開催されることになっており、同じヨーロッパのマドリードで続けて開催するほどの知恵の無さをIOCが露呈するとは思われないし、東京都は1964年に一度開催しており、去年は北京オリンピックが開催されているから、ロンドン開催を間にはさむとしても何度もアジアで開催するのは困難だと思っていた。

 1964年の東京オリンピック以来、名古屋、大阪の2市がオリンピック開催地に立候補したことがある。 今回で3度続けて落選したことになる。たいがいで立候補することをあきらめたら、と思うね。

 1988年の開催に立候補した名古屋はソウルに27対52票で負けた。名古屋五輪を後押しした当時の仲谷義明愛知県知事は1988年11月にライバルのソウルオリンピックを見届けたどうかわからぬが、自殺したという。

 2008年五輪の開催地に立候補した大阪市は1回目の投票でわずか6票に終わり、惨敗した。投票直前、厳しい情勢に当時の磯村隆文大阪市長は記者のインタビューに「こっちには秘策がある」と胸を張って答えたことをしっかり覚えている。結局、何が秘策だったのか、あたしたちには皆目わからぬまま投票に臨み北京市に惨めな負け方をしたよね。あれは市長の何の裏づけもない単なる強がり発言だったことがわかった。これをうけて当時の岡野俊一郎IOC委員は興味深いことを言っているよ。「次にアジアに五輪が回ってくるのは恐らく20年くらい先になるだろう」と。2016年といえば、この年から数えてまだ15年先のことだ。2020年開催の五輪だったら良かったということかな。

 名古屋、大阪、東京と連続の敗退に意気消沈している人もいるが、あたしは当然の結果と受け止めている。都民の中にも必ずしも賛成でなかった人たちの声は今まで抑えられていたんだ。おまけに鳩山首相が応援演説に行くということもあって、なおさら反対しにくい雰囲気になっていた。だからそういう意味では東京が落選したことは決して暗い材料ではないんだ、あたしにとっては。

 オリンピック開催地に立候補した時の最大の弊害は、誘致工作に莫大な税金を使っても、誰も異論をはさむことができない空気になっていくことだ、とあたしは思う。誘致に成功した時の夢を描いて、経済効果が何百億円と言われれば、そうかなー、そうなんだと思い込んで、理性が働かなくなっていく。まだ手にもしない経済効果の何百億円と、コンクリートの構造物にかけるお金を差し引きして「これしきの建設費はすぐ取り戻せる」と思ってしまう。だから誘致に失敗すると、税金で作ったムダな道具や施設がたくさん残ってしまうことになる。こういうことを誘致にのめりこんだ人たちはどう考えているのだろう。都のサイフはそれも気にならないほど潤沢かな。

 これで東京都がオリンピックのためだとかいって、ムダとも思える構造物をがむしゃらに造ることができなくなる。五輪といえば錦の御旗だったもんね。都内にこれ以上、余計なハコモノを造ることがないよう願うけど、東京都は早くも2020年の五輪開催都市の立候補に向けて準備するといっているらしい。ジョーダンじゃない。そういうことに余分な力を注ぐより、もっと都の環境に重きを置いた地道な行政に励んでほしいと思う。

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