2010年3月6日土曜日

学習院ブランドの崩壊

 皇太子家の長女愛子さまが不登校になっているということで、今までの学習院の高品位ブランドイメージが一気に落ちた。この落ち方を見ると、あのトヨタブランドと似ているが、トヨタの方はブレーキだとか電子回路という局部的なトラブル(それもまだ疑惑の段階)によるもので、「子ども社長」にいくらかの問題があり、そのために今回のトヨタの取り組み姿勢に反省すべき点があったとしても、会社経営の根幹に重要な問題があったわけではない(とあたしは思っている)。ところが愛子さまが通っておられる学習院初等科では昨年7月ごろから一部の生徒による学習環境の妨害があったという。平たく言えば学級崩壊にも等しいことがあったということだ。この事が公になれば、学習院の歴史に泥を塗ることになり、何より皇室家御用達の看板に傷がつくことでもある。それがなぜ前代未聞の発表までに至ったのか。

 宮内庁の野村一成東宮大夫が、愛子さまの不登校について公式に発表したことに疑問を呈している通称知識人もいるが、皇太子ご夫妻も宮内庁の方々も前々からこのことに頭を悩まされ、止むに止まれぬ状態になっていたのだと、あたしは思う。でなければ、たとえ皇族だからといっても私的なささいな問題を発表することはしないだろう。それほどまでに愛子さまの心の状態はもちろん学習院初等科の状況が抜き差しならぬ状態に陥っていたのではないかとも思える。

 学習院は原則として一般の人の子どもも入試に合格すれば入学できる。ただ本人の面接試験のみならず、保護者の面接試験も行なわれ、家庭環境も考慮した上で合否が決まるから、事実上医師や弁護士や官僚、会社経営者の富裕層の子どもに限られる。だからそういう子どもが通う学習院で、普通の家庭の子どもが通う学校で頻繁に起きている学級崩壊と同じことが起きるはずはないと思っていたが、どっこいそうじゃなかったんだ。

 聞くところによると、学習院でもモンスターペアレントのような人物もいて、こういう者に学校側が絡まれると、相手が財力も地位もあるだけに、一般の学校以上に手をこまねくこともあるらしい。子どももそれを見て、学校で思うがままに振舞うこともあるという。家庭で子どもの躾がキチンとされていればいいが、モンスターペアレントの子どもにそんなことは望み薄だ。

 愛子さまの不登校が異例の形で発表された背景には、学校側にも学級崩壊にも等しい今の状況を打開したい気持ちがあったと思う。生徒の一部に乱暴な振る舞いが見られはじめた去年の7月から、何の手も打たずにいきなり今回の発表になったということはないだろう。むしろ皇族であるがために、極力内部で解決したかったというのが本当だろう。

 子どこ同士の問題をこういう形で発表すべきでないという、上っ面だけで物事を見て発言する者がいるが、それでは解決できなかったからこういう結果になったのではないか。恐らくそれは子どもだけの問題でなく、いわゆるモンスターペアレントに等しい地位と財力を持った保護者が、子どもと同じ様に問題を起こしているのではないかとあたしは思う。そいうふうに問題が拡大しているのに、子ども同士で解決だとか、かえって深い傷を負うとか言っているからこの種の問題は何時まで経っても解決しないんだ。

 発表によって、子どもの方に精神的に大きな影響を与えることになったというが、すでに愛子さまは昨年から精神的に大きな影響を受けているのだ。同じ様な子どもも他にいるだろう。それでも子ども同士で解決しろだというのは、そのような悩みを持つ子どもを育てたことがない人間か、机の上だけで平和を説く空気学者だけが吐く言葉だ。

 異例の方法ではあるが、今回の発表で事態が大きく解決に向かうことを望んだ関係者の考えたことだと、あたしは理解したい。そして学習院も、今までの意味のないブランドを引きずらずに、品格のある学校になったらいい。

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