2010年2月23日火曜日

長崎県知事選敗北原因は天狗になった民主党だ

 長崎県知事選挙で民主党など与党が大敗北したことについて、鳩山首相や小沢幹事長の「政治とカネ」問題が大きな原因だとしている閣僚らの発言は、それまでさんざん鳩山首相や小沢幹事長のやってきたことは大悪事だと偏向報道をしてきたマスコミに迎合するものだ。その証拠にどの新聞もテレビも閣僚と同じことを言っているじゃないか。そりゃ小沢幹事長だけに限らず今時の国会議員は誰であっても重箱の隅を突くようなことをされればグレーな部分は出てくるだろう。ただ民主党であればそういう国会議員は少ないかなと思っていただけだ。そんなことは自公政権時の閣僚たちには山ほどあったことをもはやお忘れではあるまい。与党になればそれだけ責任は重いというが、この半世紀、与党であり続けた自民党に同じ様な疑惑の人間が星の数ほどいて、どれほどうやむやになったかわからない。小沢幹事長だって昔は自民党にいたのだから、自民党的体質は色濃く残っていて他の人よりはそれは濃いかもしれない。そんなことは民主党員であれば周知のはずだ。その上で自由党と合併したのだろうよ。当然、本人の周辺にいる人ならば小沢幹事長がどういう人間か分かりすぎるほどわかっているはずだ。彼が不起訴になっても犯罪者のごとく報道され、白黒も確定もしていない「政治とカネ」の問題が、あたしたちの毎日の生活に直ちに大きな影響があるならともかく、今突然に彼の大悪事がバレて選挙に影響したかのような表現で大騒ぎするマスコミ報道とシンクロするような閣僚の発言は、先の衆院選挙では彼の手腕を利用し、今では長崎県知事選に負けた原因を彼のせいにしようとする狡猾で幼稚な言い訳としかあたしには聞こえない。

 長崎県知事選挙で民主党が負けた最たる原因は、この半年間のメリハリのない鳩山首相の政権運営と、選挙地に乗り込んだ民主党石井一選対委員長の地元民に対する恫喝だ。フラフラとダッチロールする鳩山政権のことは後述するとして、問題は石井一選対委員長の発言だ。誠実でクリーンさを売り物にする民主党の国会議員がこういう馬鹿げた恫喝をやっていたとは、あきれかえってしまうと共に、もしこの敗北がなければ長崎から遠くに住む国民には最後までわからなかったかもしれない、と敗北によって知りえたことに妙な安堵感を覚えたあたしだ。

 この選対委員長の恫喝を聞けば聞くほどあたしは怒り心頭に発する。このようなことを地元民に平然と言う人間が国会議員、それも民主党にいることにも驚くが、選対委員長でもあることにさらに仰天だ。もしあたしが長崎県民であれば演説会場の席を蹴って抗議の意を示したい。この選対委員長の発言に乗じて、閣僚の一人が調子に乗って利益誘導まがいの発言もする始末だ。「政治とカネ」の問題よりも、長崎県の有権者は石井一選対委員長の恫喝にカチンと来たに違いない。「欲しけりゃアメをくれてやる。その代わり言うとおりにせい。でないとどんな目に遭うかわからんぞ」といっているのと変わりない。馬鹿にするのもいい加減にしろ、と言いたい。この選対委員長の発言に対する反動で自民党系の候補者に票を入れた者が多いとあたしはみている。九州人の性格を読み誤った結果だ。

 鳩山首相は「政治とカネ」の問題が大きく影響したとか言っているが、本当の原因はそんな表面的なもんじゃない。政権を奪取して半年経ち、昨年の衆院選で民主党に票を入れた国民は、民主党の体質がそれまで思っていたものと違っているのを感じ始めた。毛嫌いされてきた旧来の自民党的体質を引きずる者が小沢幹事長だけでなく、選対委員長あるいは平野官房長官、そしてそのほか幾人かの閣僚や民主党国会議員にも潜んでいることが国民にもわかりかけてきた。平野官房長官の所業についてあたしが許せないのは、あの官房機密費についての対処の姿勢が自公政権と全く変わらないということだ。あたしたちの税金である官房機密費について知らぬ存ぜぬと、とぼけた発言そのものがもう国民の政権ではないということを表す。また麻生政権が政権交代の直前に違法な持ち逃げ(あえて持ち逃げと言う。反論するならその証拠を)した2億5000万円もの官房機密費についてなんの調査もしないと言った平野官房長官は国民の生活が第一と掲げる民主党のどういう存在?。あれゃこれやのことで鳩山政権に懸念が生じるけれど、石井一選対委員長の長崎における発言はこの懸念を一層強めるものとなってしまった。

 この半年間、鳩山内閣でマニュフェストどおり具体化された主要なものは何一つない。検討中のものばかりである。自公政権下でがんじがらめに組み立てられた制度を壊して、民主党が進める新しいものに組み替えることは容易ではなかろう。しかしその組み立ての緒にも達していないのはどうしてか。それぞれの閣僚などを見ていても大臣のイスに座れただけで安心し、ふやけた天狗の面構えになっている。こういうスローテンポな政権運営では、官僚どもに反抗するための準備時間を与えてしまい、政治主導なぞ絵に描いたモチとなる。内閣支持率の後押しがあればこそ実現できる政策であるのに、今やそういう状況は過去のとなってしまった。

 長崎県知事選で大惨敗したにもかかわらず首相や閣僚の発言はアマチャンで、誰一人選対委員長の長崎での恫喝発言を取り上げようとしない。小沢幹事長の威厳が翳った今が言い時じゃないのかい。それとも選対委員長が怖いのかい。もちろんこんなことはマスコミの前で言う前に、本人の目の前できっぱり言うことだ。柱の影に隠れて言うような女々しい(差別用語か?)態度はとるなっていうんだ。

 「政治とカネ」の問題といったぼやけた理由付けをしないで、長崎県知事選の敗北原因は、「利益誘導と恫喝にもとられる現地での選対委員長の発言があった。この点を長崎県民におわびしたい。小沢幹事長と私のことも少なからず影響はあった」とでも言えばよかったのだ。その上で恫喝した選対委員長の更迭について言及すれば、これ以上長崎県知事選の敗北責任を問われることはなかろう。同時に民意を反故にする平野官房長官も鳩山政権の命取りになる恐れがあるから有無を言わさず交代させる。それでこそクリーンさを目指す鳩山内閣がようやく独り立ちの緒についた証にもなる。鳩山首相からみればこんな大それたことをやれそうにないことを承知であたしは言っているんだが、できれば大したものだ。

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