2009年12月3日木曜日

流行語大賞に「政権交代」

 今年の話題の言葉を選ぶ流行語大賞に「政権交代」が選ばれたんだっていうのだから日本も平和だね。デフレも異常な円高も日米のゴタゴタも鳩山首相の偽装献金etc(エトセトラだよ。高速道路のETCではないからね)で問題山積の鳩山政権の門出を祝うには、いささかブラック・ユーモアじみて聞こえるけど、流行語大賞の表彰式に出席した「みんなの党」の渡辺喜美代表が「民主党は期待はずれ」と痛烈に皮肉ったそうで、その気持ちはわからないでもない。

 「政権交代」は単なる時事語だとして批判的な声があるが、鳩山首相は「政権交代は今年限り。来年は政権維持」と代理を通じて言っている。でも目前の問題をいまだ何一つ解決できずに、先送りしているようでは来年の政権維持も黄信号が灯りそうだ。現に社民党の福島党首は、沖縄普天間飛行場移設問題で、もし辺野古に飛行場が作られるようなことになったら、社民党は連立を抜けることもあり得ると言ったそうな(3日テレビ朝日)。

 足元からきな臭い煙が上がっているのに、鳩山首相は例のごとく「重く受け止める」と言ったきり。もうこの言葉は聞き飽きた。鳩山首相は偽装献金ー俄然偽装めいてきたのでこの言葉を使うーのことで頭の中はヒート状態なのか、ぶら下がり会見では目が泳いでいるようにも見えるのはあたしの思い過ごしか。

 民主党に最大限えこひいきして判断すると、最近の鳩山首相のこの優柔不断(のふりをしているの)は民主党小沢幹事長の意向が大きく反映しているのかもしれない。鳩山政権に対する小沢幹事長の影響力は前々から言われてきたことだけど、鳩山政権が今すぐにでも具体的な結果を出せることさえも先延ばしにしているのはなぜか。鳩山政権も民主党もすべては来年の参議院選挙を目指して動いているようだ。だからそのためには、国民が大喜びしそうな政策も今すぐには具体化せず、参議院選挙に影響しそうな時期を選んでいるような感じだ。最近の地方選では民主党の立候補者が苦戦しているけれど、参議院選挙を考えたらものの数ではないと思っているのかもしれない。現に小沢幹事長は「事業仕分け」ならぬ「陳情仕分け」を導入してきた。民主党の窓口を通したものだけを政府に取り次ぐシステムにするという、従来の自公政権時の政官財癒着べったりの陳情風景を見たら、こういうやり方もありかな、と思う。そして陳情する者はいやでも民主党に顔を向けねばならなくなるというのが狙いだ。

 「民主党は期待はずれ」というのは、ひょっとすると小沢幹事長のシナリオにあらかじめ描かれたもので、来年の参議院選挙を狙ったものかも。選挙直前に民主党の公約を次々実現させれば、期待はずれの感があった分、効果は大だからね。で、今は亀井大臣や福島大臣が何を言おうとコメントもせず黙っている。ただ国会法改正について社民党がこの件を検討もせず無視した態度を非難したいきさつがあったけどね。

 マスコミは民主党の小沢幹事長をどこかの国のドンみたいに描いているけど、ノッポリした鳩山首相にこの幹事長が付いていなければ、鳩山政権は今頃ずるがしこい官僚や腹黒の自民党の長老たちにコテンパンにやられて、それこそすぐに二度目の政権交代が起きたかもしれない。政変に等しい政治の変わり目では、にらみを利かしたドンは必要悪だと思うね。懸念があるとすれば、小沢幹事長が昔の癖を必要以上に発揮しだすと、昔と同じあの場面を目にする可能性があることかな。

 自公政権の下では赤のフィルターを通していたのでなかなか見えなかった悪事が、民主党の政権になって青いフィルターを通してみたら、よくもまあこんな悪どいことが長年ばれずにと思うようなことが、あちこちでポロポロと露見してきたなあーとこのごろよく実感できる。一番いい例が元アメリカ局長が沖縄の返還における密約の存在をつい最近証言したことだ。91歳にもなる高齢な元アメリカ局長は「歴史を歪曲するのは国民のためにならない」と言ったそうで、もし自民党政権下であったならばこうはいくまい。このことだけでも政権交代の意義はある。

 政権交代は過去の政治の歴史を検証するうえで大きな意味があるのを知れば、いままで55年間一党独裁の政治が日本に何をもたらしたかわかるだろう。一部の者は自民党政権は敗戦国である日本を繁栄させたというが、それは800兆円の借金の上に作り上げたものだ。それもまだふくらみ続けている。地方の借金と隠し借金をあわせると900兆円の借金王国、それが日本の現状だ。

 こういう中で流行語大賞に「政権交代」を選ぶなら、来年はぜひとも「借金大国」と言う言葉を選んで欲しい。

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